異形の将軍・田中角栄について


 





 この人を知っていますか。田中角栄さんです。この角栄さんを中心にお話をしたいと思います。
 
 

 
 角栄さんは、新潟の貧しい農家に生れ、高等小学校を出てすぐに土方として働きました。

 上京して軍へとられ、病で内地に引き上げてから、自らの会社を設立しました。この会社を足場に国政選挙に立候補しました。そして、出世の道を歩み最年少で様々な大臣を経験、幹事長を経て総理大臣に就任。



 まさに叩き上げの人です。貧しい境遇から出世する、その姿は太閤秀吉にも、また政治における豪快さは信長にも似た現代の武将と言えるでしょう。








 角栄さんの政治には理想がありました。それは厳しい雪国で育ったその経験からでした。閉鎖的な新潟の暮らしはとても不便で豊かではない、それならば山を崩してしまえ、川に橋を架け道路を通し地方の人に喜んでもらえるようにしよう、そんな理想を掲げました。


 それこそが「日本列島改造論」の原点でもあるわけです。


 「日本道路公団」「首都高速道路公団」「日本鉄道建設公団」「日本住宅公団」「本州四国連絡橋公団」、みんな角栄さんの作ったものです。土方として働いた角栄さんらしい、わかりやすい政治でした。人が喜ぶように色んなものを建てよう。



 角栄さんが総理大臣になった当時は高度成長の裏で、都会への人口過密、地方の過疎といった問題が発生した時期でもありました。

 これを阻止ししようと、立ち上げた列島改造論は確かに様々な問題を生みました。
 しかし、角栄さんがもしこうした政策を立ち上げなければ、日本は貧富の差の歴然とした二極化した国になっていたかもしれません。発展途上国の多くが辿る、都会と田舎の巨大な格差、また貧困に苦しむ地方では共産党が力をつけ政治の面でも大きな混乱を生んだかもしれません。
 


 今こうして一般庶民にすぎない自分がインターネットを楽しめるのも、角栄さんのおかげと言っても全くの嘘とは言えないでしょう。
 世界一の国アメリカでも貧富の差は大きな問題となっています。国民の殆どが、こうして世界的水準から見れば非常に豊な生活が過ごせるのは日本だけです。





 
 ではなぜ角栄さんがこのように次々と色々なことを出来たのでしょうか。アイデアマンだった角栄さんの一つの法案にあります。
 

 「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」、簡単に言えばガソリン税です。これによって財源は大きく潤いました。

 これを喜んだのは官僚です。日本は良くも悪くも官僚国家、本来行政の手となり足となるはずの官僚は中々動いてはくれず、逆に裏で手を回して行政を動かすことも出来ます。


 その官僚を手なずけたのが角栄さんでした。田中先生にはご恩があると、頼まれたことに官僚はよく動きました。


 
 東京大阪間しか走らなかった新幹線は地方にも走り、高速道路も整備され、本州と四国には三つも橋が架かっているのです。

 一見無駄に見えるこの道路や橋、現在も赤字が多いのは事実です。ただ、角栄さんはこう考えたようです。
「無駄だと分かっていても、地元住民に喜んでもらえればそれでいい。なによりそれが地方の活性化につながるのだから」
 


 角栄さんの政治は終始その豪快さにありました。景気よく豪快に金を使いました。歴代首相の中でも一番金を動かしました。



 また角栄さんには外交の才もありました。日中国交正常化に向けて中国へと旅発つその前にこう言ったそうです。

「日本の総理大臣として行くのだから、土下座外交はしない。国益を最優先して、向こうと丁々発止とやる。いよいよとなったら決裂するかも知れないが、その責任は俺がかぶる」

 当時台湾と国交を結んでいた日本が、文化大革命の吹荒れる中国と国交を結ぶことについて右翼のみならず様々な人の強い反発がありました。角栄さんは帰国後の死をも覚悟していたそうです。

 
 首相周恩来の過去に対する暴言にも耐え、妥協案を見つけて国交樹立に至ったのです。

 

 
 

 ロッキード事件で角栄さんは失脚しました。週刊誌で様々なスキャンダルが報道されるやいなや、たちまち角栄さんは巨悪の根源、悪者にされてしまいました。

 角栄さんの作り上げたシステムは税金の無駄使いを生み、巧みに乗りこなした官僚も角栄さん以外の手には負えず腐敗の原因に、派閥は権力闘争となり、豪快に使った金は多額の借金として今の日本に重くのしかかっています。特にバブル崩壊後、日本の政治不信の全ての原因だとも言われています。




 

 でもちょっとまってください。今の政治家に
「責任は全部おれがとるからやるだけやれ」
と言える人はいますか。ハッキリと物事を言える人はいますか。
 それ以前に、真に日本を思い日本のために政治をしてくれる人はいますか。

 
 角栄さんの政治には終始お金がありました。本来、お金が政治に絡むことはあってはならないことです。しかし、いかにも誠実そうで「私はお金のない明るい政治を目指します」などど言っているだけの政治家に国をまかせる事かできるでしょうか。

 政治にはカリスマ性、豪快さやその革新的な手腕と言うものが問われます。多少悪くとも景気よくお金を使い、国を盛り上げる。そんなことも必要かと思います。



 
 小泉さんが総理大臣に就任したとき、多くの人は彼を歓迎しました。それは小泉さんが反体制的で革新的、カリスマ性にあふれ構造改革はまさに日本の不景気脱出の明るい兆しを見せてくれたものだったからです。
 しかし、現実はそう簡単ではなかったことを今多くの人は感じていると思います。

 
 今、我々が求めている政治家。それは誠実な政治家ではなく、ハッキリとした態度のとれる人です。多少荒々しくとも、それはそれで結構。
 今はタレントになっている浜幸さんを評価する人は少なくありません。ハッキリと物事が言える姿勢、なによりわかりやすい情熱がひしひしと伝わってきたくるからです。



 


 田中角栄、それはまさに今再び求められる政治化象です。彼に対する評価は人それぞれでどうあれ、少なくとも戦後、最大の政治家は彼に違いありません。真に日本を思い、日本をどう導いてくれるか、そんな人物が再び現れてくれることを期待するばかりです。